2026.6.6
2018年の初演観劇以来、大好きだったメリー・ポピンズをやっと!再び見る事ができました。
今回は濱田めぐみさんのメリー×上川一哉さんのバート。
はあ……本当に夢のようだった。
現実は厳しいこともたくさんあるけれど、何とかなるのかもしれないと希望を持たせてくれるミュージカル。
それでは、感想を書いていきます、どうぞ!
キャスト&あらすじ
あらすじ
1910年のロンドン、チェリー・ツリー・レーンに住むバンクス家。
一向に子守が居つかないこの家に、メリー・ポピンズが舞い降りてくる。
魔法で部屋を片付けたり、カバンから何でも取り出したり不思議な力を持つメリーと、煙突掃除屋のバートと過ごす素敵な毎日に、子供たちは大喜び。
一方、父ジョージは銀行でのある融資をきっかけに、苦境に立たされてしまう。
しかしこの出来事をきっかけに、バンクス家は家族の幸せを見つけ、それを見届けたメリーは、また空へ帰っていくのだった。
ミュージカル メリー・ポピンズ 公式HPより
キャスト
| メリー・ポピンズ | 濱田めぐみ / 笹本玲奈 / 朝夏まなと |
| バート | 大貫勇輔 / 小野田龍之介 / 上川一哉 |
| ジョージ・バンクス | 小西遼生 / 福士誠治 |
| ウィニフレッド・バンクス | 木村花代 / 知念里奈 |
| バードウーマン / ミス・アンドリュー | 島田歌穂 / 樹里咲穂 |
| ブーム提督 / 頭取 | コング桑田 / 丹宗立峰 |
| ミセス・ブリル | 浦嶋りんこ / 久保田磨希 |
| ロバートソン・アイ | 石川新太 / DION |

あなたの大切だったものを、覚えていますか
どのお話も、見るタイミングやその時の状況によって心動かされる場面は変わるものだと思っています。
ですが、逆にどれだけ年を重ねても変わらずに心に残り続けるシーンもある。
私にとってそれは、バンクス家の父・ジョージがジンジャーブレッドの星を見つける場面。
「子供のころ、誰にも見つからないように隠しておいたんだ。ただ問題は、自分でもどこに隠したか分からなくなって…」
一家の大黒柱として規律と秩序を何よりも重んじ、家族にもそうあるべきだと教育する。
家の諸々を取り仕切るのは母親であるウィニフレッドの仕事、家事や子供たちの面倒を見るのは家政婦の仕事、支払いのために稼いでくるのは自分の仕事という固定観念。
上流階級であろうとして、どこか虚勢を張っている。
父親としてのジョージは、恐らくそのような感じです。
「パパにも子供のころなんてあったの?」というマイケルの問いは、誰もが子供のころに自分の両親に対して抱いた疑問でもあると思います。
そして、それはもちろん「ある」のです。
子供のころに無邪気に遊んだこともあれば、大きい夢を語ったこともある。
でも、たいていの人は成長して社会の中に組み込まれていく中で、それを忘れ去ってしまう。
現実を生き抜くのに必死で、精一杯で…時には上手くいかなくて躓いたり、大切な誰かに思ってもいないような言葉を投げてしまったり。
ジョージがこの星を見つけたタイミングは、まさにそんな最中だった。
これって、元々あった自分の核を取り戻すというか…うーん、思い出すのほうが合うかな。
自分が積み上げてきたものが崩れ去って「もうだめだ」ってなったときに「本当はこういうことが好きだったな」とか「あんな夢を語っていたな」とか。
そうした過去の熱量を思い出して、立ち返ることができる。
もちろん、過去の夢だけで現実が変わるわけじゃない。
それでも過去の自分がそっと背中を押してくれるようで、少しだけ心強くなったりするものです。
そうして過去を振り返り、現在に戻ってきたとき、何が本当に大切なことなのかを改めて思い出すのかもしれないですね。
「それでも、本当に大切なものは残るでしょう?子供たち、それから…あなたと私」
私の大切なもの、何だったかな。
見方を変えれば、もっと色鮮やかになる
「物事の見方を変える」って、そう言えばWICKEDでも出てきた言葉だな~、と思うなど。
ただ、言葉の意味合いとしては少し違うと感じていて。
WICKEDは「物事の見方を変えることで、本質は何かを見極める」という、自分が多角的な視点を持って見極める。
対して、メリー・ポピンズでは「物事の見方を変えることで、何だって起こるようになるのよ」という、自分の捉え方ひとつで変化するものというイメージです。
そういう意味で「どんなこともできる、自分が邪魔をしなければ」なんだよね。
草木が枯れて人もいない公園に、花が咲き誇り女王様が現れたり。
星や月にまで手が届きそうだったり。
勇気を持って夫の職場へ乗り込んだり。(あのシーン、本当にかっこいいですよね)
結局、「ない」「できない」と勝手に決めつけているのは私たち人間側で、一歩踏み出してみれば意外にうまくいくことも沢山あったりする。
もちろん、全部が全部うまくいくとは限らないし、たどり着くまでに時間がかかってしまうこともある。
でも、メリー・ポピンズに出てくる言葉たちって本当に不思議で。
うまくいかない時ですら、この言葉を思い出すと「何とかなるんじゃないか」とか「次また頑張ってみよう」って明るい気持ちにさせてくれるんですよね。
宇宙人メリーと魔法使いバート
これね~~~!これは初演の時からずっと思っていて。
魔法使いと言えばメリーですし(宇宙人なのは否定しない)、バートは「何でも屋」を器用にこなす人間なんですけど。
でも何故か、そう感じてしまうんですよね。
多分バートが私たちにとても近い位置にいるから、かな。
誰もが人生のどこかで彼とすれ違っていて、何か困ったときにそっと寄り添ってくれる。
そして気付いたら去っていて、過去を振り返ったときに「ああいう人がいたな」と思い出す感覚に近い気がする。
「姿は見えないけど、困ったときはいつも傍にいるよ」
メリーのように本当に魔法を使えるわけじゃない。
彼(煙突掃除屋さん)と握手したからといって、本当にラッキーになれるわけじゃない。
でもそのほんの少しの言葉で、何かに気付く人がいる。ちょっとだけ世界が変わる人がいる。
先程も書いた、ジョージがジンジャーブレッドの星を見つけるところ。
私、あそこはずっとバートの方から手を差し出したと、ずっと勘違いしていたのです。
だから今回、ジョージからバートに手を差し出したのを見て驚いてしまって。
だって最初に子供達が「あなたみたいな汚い人と一緒にいると、パパに怒られるわ!」と言っていたから。
本当にそうだったのか、子供達がそう思っていただけだったのかはどちらでも良いのです。
「私が王様」と言っていたジョージが、バートとの会話の後に、自らの意志で階級が違うバートに手を差し出す。
バードウーマンに、「私の代わりに餌をやってください」とお金を渡す。
その少しの変化を自然に起こさせるバートが、本当に魔法使いみたいだなって思ったのです。
そして逆にメリーは、当たり前なのですが私たちとは一線を画している。
風向きと共にやってきて、ロケットの鎖が切れると共に去って行く。
現実世界で「現象」というちゃんと形になる魔法を起こす、人間の常識では計りきれない存在。
でも、取っつきにくいかと言われればそうではなく、ちゃんと子供たちの事を考えていて。
間違ったことをすれば怒るし(怒る……というより諭す?いや、身をもって体験させる、かな)、ちゃんとできたら褒める。
一緒に新しい言葉を作って遊ぶし、公園でパレードするし、掃除だってする。
子供達をジョージの職場に連れて行ったり、煙突掃除屋と会わせたり……。
物事の本質を見るように問いかけたり、新しい知見や気づきを与えるのも彼女の役目。
メリーの中には世界の常識に囚われないところでの軸がちゃんと存在しているし、ほとんどのことにおいてそれは正しい。
だから最終的にはみんなメリーが好きになる。
そんなメリーが最後の最後「お別れはいつも、ほろ苦い……」と人間らしいところを見せるときに、私はいつも泣きそうになる。
逆に魔法を使えないバートが魔法使いみたいな事をすると熱くなるんですよね(逆さタップとか)。
この二人、お互いを補完し合っているというか。別の領域での魔法使いなんだな、きっと。
物理的/心理的、もしくは論理的/感情的。
人が成熟していくために、どちらも欠かせない大切な要素。
文章を書きながら、この二人ってその象徴的な存在なんじゃないかというところに着地しました。
その他の感想
・メリーが去って行く本当のラスト。手紙にロケットのことは書いてあったけど、さよならの言葉ってあったっけ。
・今になってふと「真の旅立ちの前にはどんな言葉もいらない」という言葉が蘇ってきた(「空、はてしない青」より抜粋)
・ジンジャーブレッドのところ「少し先を歩く未来の僕が 躓き立ち止まるときは こんなにもさ 好きだっただろ?そう言って励まそうか」という「サンキュー!ミュージック!/V6」が流れ出してきた。
・バートを「何でも屋さん」と認識したときに、どこかで聞いたことあるな……と思ったら。PRETTY WOMANのハッピーマンでした。
・2018年の初演時はウィニフレッドに目を奪われ続けたのだけど、8年経って今度はジョージに心奪われ続けている。
・最後マイケルに抱き着かれたときに後ろに転んでたパパ…可愛い親子や。
・ジョージが若くなったからなのか、それとも小西さんだからなのか分からないけれど、最初から「王様」という感じではなくて、悩みながら家計を支えているパパだったんだよなあ。
・メリーvsミスアンドリューのシーンは何回見ても歌の圧がすごすぎてゾクゾクする。
・おもちゃのシーン、何回見ても少し怖いんだよな。
・家宝を割ってしまった後のミセス・ブリルのメンタルケア、ちゃんとやってあげてください。
終わりに
あー、やっぱり何度でも見たくなるミュージカルですね!(どの演目でも言っている)
バンクス家にはもうメリーは必要ないかもしれない。
でも、私にはまだまだメリー・ポピンズの世界が必要だから、また帰ってきて欲しい!
風向きが変わるまで、またね、メリー・ポピンズ。
Au revoir!

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