こんにちは、macaronです。
今回は何年か前に公開された映画「ウィンストン・チャーチル~ヒトラーから世界を救った男」のBlu-rayを購入、鑑賞したので、感想を書いていきます。
当時映画館で見てからずっと、もう一度見たいと思っていましたが、やっとそれが叶いました。
今更ですが、邦題は何故「ウィンストン・チャーチル~ヒトラーから世界を救った男」にしたのだろう。
そのままのタイトルでもよかったような気がするのですが……。
それでは、どうぞ!
登場人物
ウィンストン・チャーチル | ゲイリー・オールドマン | 大英帝国首相 |
クレメンティーン・チャーチル | クリスティン・スコット・トーマス | チャーチルの妻 |
エリザベス・レイトン | リリー・ジェームズ | チャーチルの秘書兼タイピスト |
ハリファックス子爵 | スティーブン・ディレイン | 大英帝国外相 |
ネビル・チェンバレン | ロナルド・ピックアップ | 大英帝国元首相 |
アンソニー・イーデン | サミュエル・ウェスト | 大英帝国陸軍大臣 |
ジョージ6世 | ベン・メンデルソーン | 大英帝国国王 |
感想
Xにも少し書いたのですが、派手なアクションがなくても画面から伝わるこの緊迫感が私はとても好きです。(もちろんアクションも好きです。)
歴史上で実際起こったことですから、もう彼らがどういう選択をして、どういう結論になったのかということは分かっているのです。
それでも最後までどちらに転ぶか分からない、そして本当に正しいのがどちらなのか分からなくなるヒヤヒヤ感。手に汗握るとはこのことですね。
同じような理由で、恐らく「13 Days」も好きなのでしょう。
キューバ危機は乗り越えられているという展開を知っていながらも、どうなるんだ……と思わせてくれるあの感じ。
少し話が逸れてしまいましたが、再鑑賞して好きなシーンが増えました。
妻、クレメンティーンとの関係性
好きなシーンと言っておいてシーンではないのですが、ウィンストンとクレメンティーンの関係性がとても好きです。
冒頭、チャーチルが秘書のレイトンに怒鳴ったときに、身内だからと贔屓するのではなく「いけないことはいけない」と諭すところ。
チャーチルが弱気になっているときには、静かに傍で寄り添っているところ。
全てを肯定するでもなく、全てを否定するでもない。
チャーチルに対して「いつでも素直でありなさい」と言っていたように、クレメンティーン自身もぶれることなく彼と向かい合い続けた。
実際、チャーチルがどんなに癇癪を起こしているときでも、クレメンティーンと話しだすと落ち着きを取り戻していたものね。
クレメンティーンの忍耐力も本当に凄い。
あれだけ癇癪を起こしている人を前にして、しっかりと相手を見て語りかけるように話せるのって、なかなか難しいと思うんですよね。
わっと言われたら、こちらだって感情にまかせて言葉を発したくなってしまうのが人の心理だと思うのですが、彼女はそんなこと一切なかった。
唯一、「破産する!」のところくらいですかね、彼女が怒ったの。
でもあれも感情的になったわけじゃなくて、事実を言っているだけだものなあ。
本当に、二人のシーンはどこを取ってもチャーチルがどれだけ彼女を愛して信頼していたか、そして逆もまた同じなのだと分かるのが良いです。
あ、そうだ。
この「破産する!」のシーン、演出も凄く面白くて。
ここまでの流れって、チャーチルが演説の原稿にキケロを使おうと思い立って書斎に向かう→後ろからレイトンをはじめ秘書らしき人が3人ついてくる→チャーチルがクレメンティーンにキケロの本をどこに片付けた?!と怒鳴る→横の部屋(書斎と繋がっている)で家計を管理していたクレメンティーンが怒る、なんですよね。
この後、チャーチルがレイトンたち3人に部屋を出るように促すんですけど、彼らは書斎という一つの部屋に繋がる別々の3つの扉の前に立っていて、一斉にドアを閉めるんです。
こういうの、あまり映画では見たことないなあと思って。(映画をめちゃくちゃ見るわけではないので、もしかしたら珍しくもなんともないのかもしれませんが。)
どちらかというと舞台で見る構図だな、と感じていたのですが、あとから見た監督のコメンタリーで、監督が昔舞台に立っていたとお話されていて納得しました。
不思議で、それで面白いシーンでしたね。
チャーチルのトイレシーン
タイトル一体何?と突っ込まれそうですが、これはとても真面目なシーンです。
レイトンが初めて戦略室へ入ったときに部屋の説明を受けるのですが、そんなのあるの?と思った「首相専用のトイレ」。
これを使用している場面になります。
この部屋の中には、ホワイトハウス・アメリカ大統領への直通電話が設置されています。
チャーチルは元々ルーズヴェルト大統領に軍艦を調達してくれるように頼んでいたのですが、大統領も周りや国民の目もあり、融通できないと断りを入れられるシーンなのです。
この二人が纏う雰囲気のあまりの違いに、私まで悔しくなりました。
ヨーロッパでは度重なる宥和政策で勢いをつけたナチスが、他国を次々と侵略しており、大陸が掌握されれば次はイギリスを目指してくる。
一方アメリカはこのときはまだ、ヨーロッパの争いには傍観する立場で、どちらかというと自国の経済政策に力を入れたいときでした。
チェンバレン元首相やハリファックスをはじめとする英国閣僚だけでなく、国王も、アメリカ大統領も……自分の味方はほとんどいない。
それでもチャーチルは一国の代表としてイギリスを守り抜く責任がある。
彼の肩にのしかかる一国の運命という責任と、たとえ味方が誰もいなかったとしてもやり遂げなければならない孤独感。
この少しのシーンで、これだけの情報が入ってくるのが凄い。
そして電話を切る間際にルーズヴェルトが言った台詞「おやすみ、ウィンストン。もう遅いだろ?」に対してチャーチルは「ああ、君が思う以上にな」と返すのですが。
これは大統領に対しての皮肉であると同時に、この映画のタイトルなのではないかと思いました。
ここの映像、トイレ以外の余白は真っ暗なんですよね。
冒頭で触れたように、邦題では「ウィンストン・チャーチル~ヒトラーから世界を救った男」ですが、本当のタイトルは「DARKEST HOUR」、直訳すると最も暗い時間です。
時間というのは点ではなく線を表す次元です。過去から現在、そして現在から未来を繋ぐ線。
チャーチルがここからカレー部隊4000人の命を奪い、本当に少なかった味方もいなくなり、身動きが取れず和平交渉の案を検討し始める。
夜明けまでの最も暗く、孤独な時間の始まりの地点。
そんなことを思ってしまいました。
おわりに
今回は、再鑑賞してみて増えたお気に入りシーンを中心に感想を書いていきました。
ちなみに、元々好きだったのは演説原稿を考えるチャーチルの後ろでヒトラーの演説が流れているあのシーンです。
口達者なチャーチルがヒトラーに演説で負けたようにも錯覚出来るあの場面の見せ方で、当時映画館で号泣した記憶があります。
泣くと言えば、映画の中でチャーチルは2回くらい(かな?)泣いているシーンが出てきます。最近本屋で「泣き虫チャーチル」という本を見かけたので、買ってみようかな。
好きな映画は、やはり何度見ても好きだなあと再確認出来ました。
購入して本当に良かったです。
それでは!
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