2023年11月3日、東京四季劇場「春」でアナと雪の女王を観劇してきました。
実は映画も見ておらず、「王子様がいい人ではない」「姉妹愛の物語」という情報と、有名な曲数曲程度の知識での観劇でした。
が、演出効果や舞台装置の凄さ、小道具の綺麗さ、全てが壮大で心奪われました。
今までにあまりないディズニーの物語(所謂、王道のプリンスプリンセスの物語ではないところ)で、あれだけ映画がヒットするのも頷けます。
映画未見のため、どこが違う等には言及できませんが、次からネタバレありの感想になります。
どうぞ!
登場人物
アナとエルサ
昔は仲が良かったけれど、いざこざがあって仲が悪い期間があって、最終的に理解し合える……そんなお話かと思っていたのですが完全に裏切られました。
もちろん良い方向に。
二人ともずっとお互いのことを想い合っているのに、そのせいですれ違いが起きてしまうのが辛い。
エルサは誰のことも傷つけたくなくて、一人部屋に閉じこもって魔法を制御できるように自分を押し殺そうと頑張っていた。
アナはアナで、昔はよく一緒に遊んでいたはずの姉が急に冷たくなった理由が分からず、昔みたいに一緒に遊ぼうよと声をかけ続ける。
お互い声に出すことはなかったけど、きっととても不安で孤独だったんだろうなあ。
そのときの行動が良い結果を生むか、悪い結果に転ぶのかは後になってみないと分からないけど、アナの記憶を一部いじってしまったのは、結果としてこの姉妹のすれ違いを起こしてしまった大きな要因の一つだと思う。
一つの集団のなかで、自分だけがそれを知らないというのは精神的にきつくなってしまう。
それが「家族」という世界で一番身近で小さいコミュニティなら尚更。
アナが過去の記憶を失っていることによって、エルサにだけ「アナを傷つけてしまった」という記憶が残り続けるのも苦しい。
アナ本人が忘れているから、エルサは共有することも、責められることも、謝罪することも、許されることもなく、けれども自分の中にその出来事が事実として残り続ける。
小さい子供たちにこんな……。と思ってしまった冒頭でした。
そう言えば。
「ゆきだるまつくろう」、めちゃくちゃ重要な曲じゃないですか?
映画上映時、「let it go」の方が多く取り上げられていた印象があったので、あまり深くは考えていなかったのですが。
「生まれてはじめて」はアナ、「let it go」はエルサがそれぞれ自分の自由を見つけ出す曲なのに対して、「ゆきだるまつくろう」は二人の思い出を繋ぐ曲なんですよね。
無邪気に二人で遊んでいた幼少期、お互い会えずに過ごしていた時間、両親が亡くなったとき……。
過去から現在までの楽しいこと、悲しいこと、苦しいこと。
二人の姉妹の軌跡を内包した曲だと感じました。
そこにオラフが登場することによって、二人の仲良かった頃がより鮮明になるのが素敵だし、オラフがバラバラになった場面(だったと思います)に、「ゆきだるまつくろう」の回想が入るのは号泣してしまう。
ハンスについて
冒頭でも述べましたが、私も前情報として今回は王子様がよくない役だというのは聞いていました。
なのでアナと始めて面識を持ったとき、「この人が本当に悪い人なのか?」と疑ってしまうほど凄くさわやかで、かっこよくて、いい人だなと思ってしまうくらいキラキラしていてびっくりしました。
住人たちを助けて、まとめようとする姿はヒーローそのものでしたし、外見だけではなくて能力も備わっている人なんだな、と。
だからこそ、後半の本性を見せるところが生きてくるのですが。
アニメではどんな描かれかただったか比較できないのが申し訳ないですが、ハンスは根本から悪いキャラクターでもなさそうに感じるんです。
登場したときにさらっとした説明だけで流されていましたが、彼には12人の兄がいてハンス自身は13番目の王子。
当然王位継承権などはなく、それだけならまだしも兄たちからは辛く当たられていた、というお話がありましたよね?
例えば、エルサにとってのアナ、アナにとってのエルサのように、ハンスに兄たちのうち誰か一人でも彼を思ってくれる人がいたなら、物語はまた少し変わったのではないかと思わずにはいられません。
自分の居場所を確保するには、誰かを騙し、利用し奪う……その方法しか知らなかったのではないかなと考えると、ただの悪役というわけではなく、なんだか可哀想にも見えてきます。
ここからは少し勝手な解釈になります。キリスト教についてはあまり詳しくないので、間違っていたらすみません。
ハンスが13人兄弟の末っ子という話を聞いたとき、真っ先に浮かんだのはキリストと12人の使徒。
彼が途中でアナに対して裏切ったのを見ると、彼自身はユダを象徴しているのかなと思いました。
ユダはキリストを裏切って12使徒から外されるので、13番目というのは納得出来そうな気がします。
ただ、名前はヨハネのドイツ語での略式らしいです。(舞台「ロスメルスホルム」の主人公ヨハネスについて調べていたら、ハンスに辿り着いて驚きました。)
調べていると、ヨハネは12使途の中で最年少だったらしいので、この2人を掛け合わせて生まれたのがハンスだったのかな?
こういう海外の作品は舞台にしろミュージカルにしろ、少なからず宗教観が入ることが多いので、考え出すとキリが無いですね。
ただ、これだけハンスについて熱く語っておいてアレですが、私はどちらかというとクリストフが好きです笑
あのツンデレ感も好きだし、アナに真実の愛が必要と知ったときにためらうことなくハンスに届けに行った行動も素敵だった。
その他感想
他に感じたことを箇条書きでいくつか。
・子役ちゃんたち本当に凄いなあ。素朴な演技が逆に涙腺にくる。
・戴冠式のアナとエルサが久しぶりに対面してキャッキャしてるの可愛すぎだし、エルサが手袋外して儀式の物を持つのに成功したときの喜びようも可愛い。
・家族から隠し事をされてきたアナと、兄から酷い扱いを受けてきたハンス。初対面で恋に落ちるかと言われたらNOだけど、まあ、お互いの環境的に重なってしまう部分はどうしても出てくるよね。
・アナとクリスの橋の上のやりとりが結構好きです。あれやりながら歌うの凄いな。
・let it go、終盤だと思ってたら割と中盤の曲だったのね。それにしても衣装の早替えまったく分からなかった。
・これはアニメ版なんですけど、let it goの最後でエルサが扉を閉めるシーン、とても切なくないですか?「ゆきだるまつくろう」でアナが「ねえ、ドアを開けて」と歌うのと対称的になっているように感じてしまって。エルサは自由になったように思えても、その扉は閉じられたままなんだ。
・というか、故郷に雪が降り続けていることを知らなかったのか。
・ヒュゲは一体何なの???あの葉っぱのダンス色々大丈夫???アニメにもあるの?
・なるほど、北欧の方で幸福のキーワードとして用いられているのね。
・アナの凍った心がエルサとの姉妹愛で溶けたのは、そもそもの問題の起因がそこだったから納得。
・自分が怪物かもしれないと思わざるを得なくなったエルサ……。
・ラスト、クリストフとエルサがハグしたところでなぜだかわからないけど涙がでた。自分でも整理がつかない感情だった。
おわりに
アニメは、you tubeの歌唱部分くらいしか見ていなかった私ですが、とても楽しめました。
あの氷のお城や魔法はどう表現するのだろうと思っていたのですが、想像以上に大がかりでとても綺麗だった。
書きながら、アニメと比較できた方が楽しいだろうなあとずっと感じていたのでまた近いうちに見てみようかなと思います。
しかしいくら考えてもやっぱりヒュゲはよく分からない演出だったな。
そして、実はこの日のマチネ公演を見に行くはずだったウィキッド。(チケットが瞬殺だった)
夏に大阪にくるみたいなので、絶対行きたい!頑張ります。
最後に、観劇後にイタリアンを食べましたので写真を載せておきます。
それでは!
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