【観劇記録】ミュージカル キャメロット-玉座に座るのは神ではなく、ただの人間だった-【感想】

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感想

ザ ミュージックマン以来の坂本君が出演するミュージカル。

久しぶりにトニセンFCでチケットを取ったら、前から4列目というとても良い席で観劇出来ました。

アーサー王物語について、騎士のお話だから堅い感じなのかなと思っていたのですが、割とクスっとなるシーンもあって緊張がほぐれました。

ペリノアさんがとても可愛すぎたせいにしておきます笑

そして、皆さん歌が上手なのは知っていたのですが、桐山君があそこまで歌えるの初めて知りました。

嬉しい収穫だったな。

次からネタバレありの感想になります。

どうぞ!

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登場人物

アーサー坂本昌行イングランド王。平和な世界を目指し、円卓の騎士団を作る
ランスロット桐山照史フランスの実力ある騎士。円卓の騎士の一員
グィネヴィア唯月ふうかイングランド王妃。後にランスロットと心を通わせる
モルドレッド入野自由アーサーの隠し子。国を乗っ取ろうと画策する
ペリノア今井清隆アーサーの良き友。魔物を倒す旅をしていた

思いを語り継ぐこと

物語を全編通して不安になったり、迷ったりすることが多かったアーサーが、すごく自信に満ちあふれた場面は実はラストだけだったように思う。

絶望したままの幕引きか~という私の考えは、急にテントの中から登場したトムという少年によって打ち砕かれました。

若く純粋で、ただ真っ直ぐに希望を持つ青年。

アーサーは彼と彼の言葉に、未来への希望と過去の自分を見る事が出来たのかな。

そういえば、途中でそんな感じの台詞があったような気もします。

「若かった頃の純粋さは、もうない」みたいな(台詞についてはいつも曖昧です、ごめんなさい。)

なんとかしてこの世界から争いをなくしたい。

その一心で円卓の騎士団を思いつき、行動し、実際に作り上げたアーサー。

あの頃持っていた歪みない純粋さや決断力、行動力……今の自分が失ってしまったものたちをトムは持っている。

思えば、騎士団を結成してからのアーサーは、肩書きによる重責が増えたこともあるけれど、いつもどこか自信が無くて迷っていた。

そんな彼が久しく見せる明るい表情で、確固たる自信を持って「俺の思いを伝えてくれる彼がいるから、俺はもう勝利しているんだ」と言い切ったラスト。

過去に描いた世界が崩れゆく様を見て絶望していたアーサーが再び希望を見つけられた、これだけで今までの事が吹っ飛んでハッピーエンドだと思わせてくれる。

思いや技術を伝えていくというのは、人類にとってもとても重要なこと。

例えどんな良いことをしたとしても、それがそこで途切れてしまえば過去の歴史の一部として影に埋もれてしまうだけになる。

今回のように語り継いでいくことが出来れば、アーサーが言っていたように何十年、何百年後の人たちが、その思いに共感する日が来るかもしれない。

そういう意味では、あのトムという少年は私たちだったようにも思います。

アーサーが作ろうとした平和で平等な世界を、受け継いで形にしていかなければいけないのは、私たち後の時代の人間なのですから。

もちろん、彼の思いや願いに賛同するなら……ですが。

ただ待っているだけでは駄目なのだと、私たちの住む世界のことは私たちで作り上げていかなければならないのだと、そんなメッセージに感じました。

ミュージカル「ラグタイム」の挨拶で聞いた「100年たってもそんなに世界は良くなっていない」を思い出すと、とても苦しくなってしまいますが。

ただその現実から目を逸らすことだけはしたくないなと思いました。

王としての自分と、人間としての自分

今作のアーサー王はとても人間味溢れる人物でした。

冒頭のマーリンの注意を全く聞かないやんちゃさ、他国の者であっても優秀であれば信頼を置く懐の広さ、息子に対する嫌悪感、愛する人に裏切られている事実を知った時の苦悩する姿……。

強さと弱さ、優しさと厳しさ、良い心と悪い心……全て持ち合わせていて、とても親近感が持てる。

そんな人物だな、と見ていて思いました。

「王様」というとどんなイメージがありますかね?

いつも迷うことなく凛としていて、正しい決断を即座に下すべきである人物。

圧倒的な力とセンスで国民を導く存在。

そのイメージこそが間違っているんですよね、きっと。

王様は肩書きであって、そういう人種ではない。神様でもなければ、崇拝するべき立場でもない。

皆と同じ人間なのだから間違った判断をするときもあるし、迷ったり悩んだりすることもある。

しかし一国の長である以上、私たちはやはりそういう行いを王に期待してしまうし、王はできる限り持てる能力を使ってそれに応える努力はしなければならない。

今回のアーサー王は、まさにその間で雁字搦めになって悩み続けていた人物なんだろうな。

特にグィネヴィアとランスロットの関係を知ったとき。

王としての自分を取り、平和な世界を作り上げる影で自分は傷つき続けるか。

個としての自分を取り、妻を取り戻して円卓の騎士を崩壊させるか。

結局アーサーが選んだのは前者で、だけど、当たり前なんだけど人としての自分の気持ちを完全に捨て去る事なんてできないから、最後に自分の気持ちが溢れ出ちゃったんだよなあ。

マーリンがいなくなった後、彼のようにアーサーを王ではなく、一人の個として見てくれる気心の知れた人物がそばにいればなあと割と思っていて。

ペリノアがその一端を担ってはいたのだろうけど、もっとアーサーのことを知る人物で客観的に物事を見られる人もいて欲しかったなあというのが本音です。

(ペリノアはペリノアでとてもチャーミングで大好きですけどね!)

結局、誰かが何かを我慢したり傷ついたりしながら作られた平和は、いつかは崩れ去っていくものなのかなあと、少し気が重くなるようなことを考えてしまいました。

余談ですが、アーサーはグィネヴィアもランスロットも愛しているから、自分の本当の気持ちを我慢して「王であること」を選択しましたが、なんだかんだ、ランスロットもグィネヴィアもアーサーが彼らに抱いていた愛と同じくらい、アーサーを愛していたんですよね。

お互いを愛する気持ちは本物で止められないものだったけど、最後、会うのを辞めようとしたのは確かにアーサーへの思いがあったからなのではないかなと、そう感じたのですが。

とは言え、やはり私にはグィネヴィアとランスロットの行動は理解できない、かな。

2幕で言っていたように、例えグィネヴィアが「王妃としての生活が重たい」と感じていたとしても、貴女の目の前にいる王だって、散々その立場に苦しんでいるのになあと思ってしまうのです。

愛は理屈じゃないとは言うけれど、人間には理性というものがあるはずなのにね……。

アーサー目線で進んで行くので、どうしても彼に感情移入してしまうのですが、また原作を読めば印象が違ってくるかもしれないので、そちらも手に取ってみようと思います。

その他感想

その他、短めの感想などを箇条書きで書いていきたいと思います。

・最初のグィネヴィアの妄想通りになったな。「騎士同士が私を巡って争うの!」「それって素敵!」……そうなってみて、どう思った?本当に素敵だった?

・実際には彼女を巡って争いが起きたわけではなく、モルドレッドが彼女を火種に燃え上がらせたのだけど、なんとも皮肉だなと。

・中途半端に未来を知るものでもないな。それに囚われすぎて余計に身動きが取れなくなる。でも最後アーサーに希望を抱かせたのも「数百年後には地球が丸いという事が証明される」と言ったマーリンの予言なのよね。

・アーサーを縛っていたのはマーリンの予言だけど、その片方でマーリンはアーサー自身にもたくさん考させるよう言っていたのはよかったな。

・マーリンの最期の「ぼんくらぁ」に愛が込められすぎていて涙が出た。

・ランスロットの登場シーン、癖強すぎて笑っちゃった。自分を褒め称えすぎでしょ笑

・決闘シーン、割と好きです。あの皆さんの歌ですごく緊迫感を持たされる。

・それにしても、槍ってあんなに大きいの?日本の槍みたいなのを想像していたら3倍くらい大きいのが出てきて驚いた。

・ランスロットって魔法が使えるんですか?妖精に育てられたから?

・「空から地上を見たら、境界線がないことに気づいたんだ!」これは本当にその通りで、無いものを求めて人間はいつまでも争っているのよ。

・そう言えるのは私が島国で生きているからなのかなあ。大陸で生きていたら、また考え方が変わってくるのかなあ。

・あの鎧を舞台上で着せられているのが、戦わざるをえなくなった感がでていいよね。決して望んで戦うわけではない。

・本当にペリノアがいなければ、もっと暗いお話になっていたね、これ。

おわりに

冒頭で言ったように、久しぶりにオペラグラスが必要ないほど前列で観劇出来て楽しかったです。

基本A席B席で見ているので、たまにはこういうのも良いですね。

そして、劇場の目の前に「くくる」というたこ焼き屋さんがあったので、観劇後食べようと思っていたのですが。

劇場を出たときの行列にびっくりして食べそびれてしまいました。

代わりに高島屋で軽く飲んで帰りましたので、その写真を上げておきます。

それでは!

ゆばかにクリームコロッケ

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