私たちが生きていく上で大部分の人が一番必要とするものは何だと思いますか?
それは「お金」です。
現代の生活において何か物を得るためには、必ずお金が必要となってきます。
では、退職後のお金の収支について考えたことはありますか?
老後2,000万円問題や年金受取額の減少などが話題になり、将来の生活について漠然と不安を抱えている人も多いのではないでしょうか?
そんな将来に向けてコツコツ資金を作れるのが「積み立て」です。
最近は雑誌や本、テレビなどで目にする機会も多いと思いますが、一言で「積み立て」と言ってもたくさん種類があります。
今回はどんな積み立てがあるのか、メリットやデメリットはどうなのか、を紹介していきますので、ぜひ貴方に合った「積み立て」を見つけてみてくださいね。
この記事はこんな人にオススメ!
・貯蓄をしたいけどなかなか続かない人
・自分に合った積立方法を知りたい人
この記事を書いているmacaronは……
・元銀行員(約10年勤務)
・預金商品から運用性商品まで、お客様に案内し続ける
積み立ての種類
1.積立定期預金
定期預金は、「ある一定期間(満期日まで)引き出しをせずに、預けておくことを条件に普通預金よりも高い金利をつけてくれる」商品です。
とは言いつつもあくまでも預金ですので、金利は下がりますが満期日前でも引き出すことは可能です。
積立定期は、毎月同じ日に、同じ金額が自動的に普通預金から定期預金へ振り替えられるサービスのことです。
例えば、毎月15日に30,000円を定期預金に積み立てていく、と言うような形です。
積立定期預金のメリット
・元本割れのリスクがない
・いざというときはすぐに現金化が可能
積立定期預金のデメリット
・金利がつかない
・簡単に出金できるので、口座にお金があればおろしてしまう人にはあまり向かない
定期預金は銀行が提供する預金サービスになりますので、後述する投資信託のように元本割れ(マイナスの残高になる)ということはありません。
しかし定期預金の金利は、今や普通預金とほとんど変わりません。
ほとんどのメガバンクや地方銀行は0.002%、つまり100万円を1年間預けても20円の利息しかもらえないということです。(実際はここから税金が引かれます。)
さらに、金額としては元本割れはしませんが、現在のように物の値段が高くなったときは実質目減りしていると言えます。
最近だと卵やトイレットペーパーなどは何度も値上げされていますよね?
今まで100円を出せば買えていたものが200円を払わないと買えなくなる。
今の日本の預金金利ではこのような状況に対応するのは正直難しいと言えるでしょう。
積立定期預金はこんな人におすすめ
・貯蓄を始めたばかりで、積み立てがどんなものかを知りたい人
・増えなくてもいいから生活口座とは分けて管理していきたい人
2.積立投資信託
積立投資信託は毎月同じ日に同じ金額を投資信託に積み立てていくものです。
たくさん書籍なども出ていますので、知っている方も多いと思いますが少額投資非課税制度と言われるNISAやつみたてNISAを使っての積立が有名ですね。
投資信託を簡単に説明すると、「運用のプロが投資家から資金を集めて、株式や債券に投資し、運用を行う」というものです。
銀行や証券会社の窓口、あるいはホームページなどに取り扱われている銘柄のパンフレットが置かれていたり、掲載されたりしているのを見たことがあるのではないでしょうか。
その中から貴方が惹かれるものや成長性があるな、と思う商品を選んで積み立てていく。
これが積立投資信託です。
積立投資信託のメリット
・預金よりも預けている金額が増える可能性がある
・相場を見て買うか買わないか悩まなくても、自動的に買い付けてくれる
・NISAを利用した場合は資産が増えても非課税になる
積立投資信託のデメリット
・元本割れのリスクがある
・短期での利益獲得は難しい
・手数料がかかる
投資信託は預金と違い値動きがあります。
ですので、積み立てている商品の基準価額が上がれば利益が出ますが、下がった場合は損をする可能性もあります。
また、投資信託の基本的な考えは「基準価額が低いときに購入して、高くなったら売却する」です。
じゃあ積み立てるなら基準価額が低い時に積み立てていけばいいじゃん!と考えるの普通ですが、「今日の基準価額が一番底だ」なんて誰にも分かりません。
その点、積立契約をしておけば高くても低くても強制的に購入してくれます。
これを長期間続けていくと基準価額が平均かされ、コロナショックのときのような株価暴落時にもマイナスになる度合いを低くする効果が見込めます。
積立投資信託が将来への資産形成に向いていると言われるのはこのためです。
また、保有している投資信託をプラスで売却した場合、基本は利益に対して税金がかかってきます。
NISAやつみたてNISAで購入していた場合はこの税金がかからない、つまり非課税になるのでこれらを利用してみるのも良いでしょう。
投資信託で忘れてはいけないのが手数料です。
購入時にかかる購入手数料や運用中にかかる管理手数料などです。
つみたてNISAで購入できる商品は手数料が限りなく0に近いものばかりですが、一般NISAで扱う商品の購入手数料は高いもので3%ほどかかってくるものもあります。
投資信託を始めるときはパンフレットを読んだり、受付担当者に相談したりしながら確認してみてくださいね。
積立投資信託はこんな人におすすめ
・将来を見据えて資産を増やしていきたい人
・長期での資産形成を考えている人
3.個人年金保険
保険というと死亡に備える生命保険や怪我・病気に備える医療保険・がん保険などはよく目にすると思いますが、実は毎月積み立てて行ける個人年金保険も存在します。
保険商品は最低10年間の払い込みが原則という商品が多いです。
いつでも売却できる投資信託と違い、基本的には途中での引き出しはできません。
「貯蓄したいけど引き出せる口座に置いておくと使ってしまう……」という方には、絶好の貯蓄チャンスかもしれません。
個人年金保険のメリット
・年末調整で個人年金保険料控除が使える
・原則引き出し不可のため強制的に貯蓄が可能
・クレジット引き落としにするとポイントも貯められる
個人年金保険のデメリット
・中途解約すると元本割れする可能性が高い
・生命保険会社が倒産すると元本は確保されない
個人年金の最大のメリットは節税対策ができると言う点です。
「資産を増やす」ではなく、「支出を減らす」という観点から貯蓄を試みることができます。
働いている方は誰しも年末調整をされていると思いますが、その中に「個人年金保険料控除」という枠があるのをご存じですか?
一定の条件のもと、この枠の使用が可能になります。
掛金が全額控除対象になるわけではないので、その点はご注意ください。
そして、何度も書きますが満期日前でも引き出しができる定期預金とは違い、満期が来るまで引き出すことはできません。
どうしても入り用ができた、という場合は解約できますが、その場合払い込んだ金額よりも少ない金額しか戻ってこない可能性が高いと思っておいてください。
商品によっては長期間契約が続けば途中で解約返戻金がプラスになることもあります。
保険商品は取扱機関などで設計書(シミュレーション)を作ってもらうことができます。
それを見ながらどれくらい保有すれば中途解約しても増えて戻ってくるか、満期まで持った場合はどれくらい増えるのかを確認してみてくださいね。
個人年金保険(積立型)はこんな人におすすめ
・引き出さない!と強い意志を持って貯蓄したい人
・節税効果を受けたい人
4.iDeCo
iDeCoは個人型確定拠出年金といい、現在国が激推ししている私的年金制度です。
iDeCoを契約する金融機関や投資銘柄、割合、掛金などを全て自分で決め、積み立てていく制度になっています。
公式HPで詳しい内容が分かりますので参考に読んでみてください。こちらで、簡単な節税のシミュレーションもできますので具体的な数字を入れて試してみてくださいね。
iDeCoのメリット
・掛金が全額控除対象になる
・運用益は非課税
・受け取り時も所得控除の対象になる
iDeCoのデメリット
・60歳まで掛け続けないといけない
・口座管理手数料がかかる
・転職や退職時の手続きが面倒
iDeCoのメリットはなんと言っても掛金が全額控除対象になることです。
先ほどの個人年金保険も控除を受けられますが、上限が決まっています。
つまり、節税の観点で見るならiDeCoの方が受けられるメリットが大きいですね。
ただ、個人年金保険とは別の「小規模企業共済等掛金控除」という枠での控除になりますので、組み合わせてみるのも良いかもしれません。
ここだけ聞くといいように思えますが、それだけではありません。
まず、iDeCoを運用する専用の口座に関して、開設手数料や管理手数料がかかってきます。
開設手数料は最初の1回きりですが、管理手数料は毎月かかってくることになります。
管理手数料に関しては、金融機関で違いますので申し込む前に必ず確認してください。
そして、iDeCo加入後は60歳までの引き出しと、途中での脱退はできないことも注意点です。(一定の条件を満たせば脱退できますが極めて稀なケースです。)
掛金の拠出を停止することはできますが、その場合でも口座管理手数料はずっとかかってきますので、加入する際は、どれくらい払い続けないといけないかも考慮しましょう。
iDeCoはこんな人におすすめ
・所得控除を受けられる枠を最大限に利用したい人
・ずっと積み立てていける自信がある人
貯蓄は自分に合ったものを、無理なく行うのが重要
組み合わせて分散貯蓄
いろいろと紹介してきましたが、全部活用しないといけないわけでも、どれか一つに絞らないといけないわけでもありません。
貯蓄は大切ですがいざというときに使える資金がないのでは本末転倒です。
ですので、比較的すぐに出金できる定期預金と、出金はなかなかできませんが預金よりは増える可能性がある運用性の商品を組み合わせる方法も考えてみましょう。
紹介した順番がそのまま現金化しやすい順番になっていますので、参考になれば嬉しいです。
毎月の出費や収入の状況は人によって全く違いますので、自分にとってベストな組み合わせを見つけてみてくださいね。
続かない金額の設定はNG!
よく「月○万円貯金する!」と目標を立てることがありますが、ここであまりに高い数字を設定してしまうと挫折しやすいです。
友達や同僚との食事が続いたり、体調不良で病院に通ったり。
想定外の出費というのは必ず起こってきます。
「今月は交際費がかかったから、目標に届かなかったな……」ということが続くとやる気をなくしてしまったり、自分をダメだと思ってしまったりと良くない流れになってしまいます。
ですので、自分の収入や支出をよく把握した上で最初は絶対に続けられるくらいの金額から始めてみてください。
万円単位でなくても、千円単位でも大丈夫です。
それが続くと自信になってきます。
そしていつか「もう少し額を増やしても大丈夫そうだな」と思うときが来たら徐々に金額を増やしましょう。
その頃には、積み立てていくのが楽しくなっていているはずです。
まとめ
今回は貯蓄に最適な「積立の種類」を見てきました。
資産形成や老後資金については、政府も「自分でなんとかしてください」という状況です。(それはそれでどうなの?と思いますが、これはまた別のお話)
漠然とした不安があるのは皆同じだと思います。
不安が不安のままで終わらないように、できることから少しずつ始めてみましょう。
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