【観劇記録】ミュージカル カムフロムアウェイ【感想】

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感想

2024年4月13日、大阪でミュージカル「カムフロムアウェイ」を観劇しました。

KITTE内にある新しい劇場、MBS SKYシアターでの観劇です。(ちなみにKITTEは2024年7月オープンです。)

主役級のキャストが揃い、幕間なし、100分間ノンストップで駆け抜ける今作品。

事前にYOUTUBEにアップされた、このリハーサル映像以外の情報はできるだけ見ずに、新しい気持ちで劇場に向かいました。

観劇後は心が温まって劇場をあとにできる、そんな物語でした。

以下よりネタバレありの感想になります。

どうぞ!

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キャスト

安蘭けいダイアン ほか
石川禅ニック ほか
浦井健治ケビンT ほか
加藤和樹ボブ ほか
咲妃みゆジャニス ほか
シルビア・グラブボニー ほか
田代万里生ケビンJ ほか
橋本さとしクロード ほか
濱田めぐみビバリー ほか
森公美子ハンナ ほか
吉原光夫オズ ほか
柚希礼音ビューラ ほか
上條駿スタンバイ
栗山絵美スタンバイ
湊陽奈スタンバイ
安福毅スタンバイ

実際に起こった物語であること

このお話が心に響くのは、創作されたお話ではなく、事実として行われていたことだから。

そしてその裏にあるのは(実際はこちらが表なのだけど)、その当時生きていた人は誰もが知っているであろう「9.11」。

この悲劇的なテロがあった中でも、手を取り合い、助け合う。

そういう人間の持つ温かさがダイレクトに伝わってきて、涙が止まらなくなったのだと思う。

印象的な台詞としては、何回か出てくる「あなたもきっと、同じ事をしたでしょう?」という言葉。

同じ状況に立たされたとして、本当に私も同じ事をしたのだろうか、同じ事ができたのだろうか……考えれば考えるほど分からなくなります。

そりゃあ私だって、自分に余裕があれば他人に親切に出来る。

同じ日本人で……いや、人種はともかく日本語が通じて意思疎通が出来れば、そうできると思う。

でもこのお話のような状況でそれができるのか?

国際的な緊急事態、飛行機から降りてくるのがどんな人たちか全く分からない。

国籍、人種、宗教、思想……自分たちと考え方が違う人たちばかりかもしれない。

もしかしたらここに着陸した飛行機の中にも、テロリストの仲間がいるかもしれない。

私はきっと、怖くなってしまうと思う。

と、ここまで書いて思い出したのが1曲目「Welcome to the Rock」。

これ、1曲目にしてニューファンドランドの、そしてこの舞台の縮図になっているような重要な曲だと思っているのですが。

全員が顔見知り、そしてそこにいる全員にそれぞれの物語がある

普段から全員を知っているからこそ、どうしようと思いつつも不安を出さずに乗り越える事ができた。そしてあれだけの短時間で連携して、何千人という人たちを受け入れる体制を整えられた。

おそらく住民同士の関係性が希薄であったなら、きっとああいう形にはならなかったと思う。

ここの天気は激しく荒れる 人は優しい、空は厳しい

冬が厳しかったり、天候が荒れやすい土地のニューファンドランドでは、お互い助け合わないと生きていけないことを身をもって知っている人たちばかり。

世界が陸に乗り上げたとき 港が欲しけりゃドアは開いてる

嵐の中すべて乗り越えて 遠くから来た人へ

WELCOME TO THE ROCK!

これ、この動画の中で同じ曲調で歌われている「我らもみんなあらゆる場所から はるばるここまで来たのだから」と通じていると思うのです。

国境を越えようと、海を渡って大陸を越えようと、結局みんな同じ人間なのだから困っていたら助ける以外の選択肢は元から持っていないんだろうなあ。

結局、考えても私自身が同じ状況になったときにこういう行動を取れるかは分からないままです。

でもこの舞台を見て、当事者達のインタビューを見て、過去の記事を読んだりして、私も何かやりたい!と思ったこの気持ちは嘘じゃないし、大切にしていきたい。

今私が出来ることは募金くらいしかないのですが、そういう小さな行動でも積み重ねて行けたら良いなと思わせてくれた舞台でした。

シーン別感想など

カムフロムアウェイ、好きなところが多すぎてどうしよう状態なので、特に「うわあ、」と思った場面や登場人物などを少しずつ書き留めておきたいと思います。

管制塔

ここの緊張感すごかった。

ライトに照らされていた明るいカフェのシーンから一気に照明が消え、役者が下から着けているであろう懐中電灯の光のみになる場面。

禅さんのお声って基本柔らかくて耳に馴染むと思っているのだけど、耳馴染みが良い故にキリッとした声を出されると場面が凄く締まる。

「VIPが乗っていることは~」の少しゆったりした話し方から最後「今すぐ着陸しなさい!!!」の有無を言わせない話し方へのヒートアップの仕方、本当に凄い。

そして更にここからの飛行機内への場面転換が鮮やかすぎてそこもまた「おお~」となる。

息をつく間を与えてくれない。

アリ&ビューラ

アリは、この舞台における最大の矛盾点を表していると思っています。

9.11という世界的事件の裏で起こっていた心温まる助け合いの物語。

そんな中、アリへの態度は「助け合い」だけで終わらなかったのも事実。

飛行機から降りるときに身体検査を受け、なぜ英語を話さないんだと他の乗客から詰め寄られ、離陸するときにも再び厳重な身体検査を受ける。

彼が中東出身というのが原因なのですが。

「全員があのテロリストのような思考を持っているわけではない!」と伝えてもやはり簡単にそれを信じてもらうことは難しい。

でも、パイロットはパイロットで乗客全員の命の安全を守る必要がある。

どうしようもないと思いつつも、やるせない気持ちにさせてくれる。綺麗なお話で終わらないのがまた、いいですよね。

ただ、アリも全員からそういう態度を取られていた訳ではなくて、柚希さん演じるビューラのように本心から気にかけてくれた人もいた。

屈辱的な思いをしながらも、決してそれだけではなかった。

だからこそこの二人のお話は現時点の矛盾であり、先の未来のまだ不安定な希望を見られるものでもある。

その希望をたぐり寄せられるかどうかは、私たちにかかっているんだと投げかけられたようでした。

(ちなみに、わたしはビューラがとても好きだった。)

ボブの心情の変化

前のチャプターで不安のお話をしましたが、贔屓目抜きにしてもボブは一番私側の視点に近い存在として、かなり親近感を持っている登場人物でした。

ニューヨーカーであることもそうかもしれないけれど、ニューファンドランドの人たちと違って、乗客は全員偶然乗り合わせただけの他人。

そんなの不安しかないに決まっている。

だからこそ人を全く信用しようとしなかった彼が、町長たちとのやりとりを通して徐々に不安が解けていく様子は、この物語の核とも言えるのではないかと思う。

「ちょっとそこら辺の家からBBQ用のコンロを取ってこいや~」「えっ??盗ってくるの???」

から、「茶でも飲んで行きなさい」「どこの家でもお茶を出され、皆コンロを盗むのを手伝ってくれる」

という過程を経て、「俺は、財布をどこに隠そうか考えるのをやめた」

に辿り着くのが、いいですよね……。

ただそのオチが「でも俺、貴方の家のアイリッシュウイスキー全部飲んじゃった……」「あんただってきっと同じ事をしただろう?」なのは少し笑ってしまった。

めそめそするボブくんは可愛すぎましたね。(これは贔屓目です笑)

最後のボブの独白は、熊本公演でもう少し集中して聞いてこようと思います。

Me And The Sky

今回の公演で、数少ないソロナンバーのうちの1曲。

濱田めぐみさん演じるビバリー機長が歌う「Me And The Sky」。

いつ聞いてもめぐさんの歌声は本当に素敵。どの役者さんもそうなんですけど、めぐさんの歌には本当に役の魂が宿っているように思う。

将来の夢を見つけた子供時代、性別だけでぞんざいに扱われてきた経験、それでも諦めずに女性初のパイロットになれたときの達成感。

……そして、ずっと愛してきた飛行機が人の命を奪う爆弾として使われた絶望感。

全ての感情が歌声に乗って、心を直接突き刺してくるように真っ直ぐ届いてくる。

この曲を聴いているとき、私がいたのは劇場じゃなくて飛行機の中だった。

見渡す限り青い空の中にいる、その情景が広がっていたのです。

この舞台を見終わった後やっとご本人達へのインタビュー動画を拝見したのですが、「この曲は私のフライト人生を完全に記録しています」とおっしゃっていて、なぜか涙が出ました。

(ビバリー機長へのインタビューは4分35秒ごろからです。)

きっと客席で見たもの、感じたことが蘇ってきて、それがこの言葉に繋がった感じがしたのだろうなあ。

終わりに

本当に良すぎるシーンが多すぎて書き切れないし、まとまらないでどうしようかと思いました。

実はもっと書きたい場面があったのですが、それは次回にします。

もしかしたら、今回とは違う感じ方をするかもしれませんが、それはそれで良いのかなとも思います。

残るは熊本、群馬。

できるだけ、たくさんの人に見に行ってほしいなあと思う作品ですので、お時間ある方は是非!

それでは、熊本公演でお会いしましょう。

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